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- 海底軍艦について(2)
- 「海島冐檢奇譚 海底軍艦」。いよいよ明日配信です。
物語は世界各国を旅している柳川がイタリアのネープルスに立ち寄った所から
始まります。無聊のためネープルスに住む旧友の濱島を訪ねると、その妻と息子
が日本へ帰国するところといいます。それではと、一緒の船に乗りこむわけです
が……。
主人公はその柳川と濱島日出雄君。少年向けの読み物と思うと、当時の少年達
はきっとハラハラドキドキ自分の身に置き換えて冒険を楽しみ、またこんな経験
をしたいと夢見たことでしょう。
そういえば、横山光輝先生の「鉄人28号」の中で鉄人を建造しているさまをこ
の作品の海底軍艦を建造しているようだと称している評論もありました。ひょっ
とすると横山少年はこの作品を読んで、なぞらえたのかもしれません。
単行本は1900年、明治33年に初版が発行されています。今から100年
以上も前の作品です。ですから、文字は旧仮名遣いで書かれていますけどこの点
と文体を除けば100年以上前の作品とは思えないくらい面白い作品です。
旧仮名遣いといっても明治後期の文体ですから、難なく読めます。むしろ文章
の書き方に気品さえあるような気がします。ただ、現在のPCではどうしても表
記できない旧漢字もいくつかありました。これは現在の漢字に置き換えました。
また、内容の構成も素晴らしい。
さまざまな事件、いろいろな小道具が本文中にでてきます。一見、なんの関係
もなく物語が進んでいくのですけれども、それが伏線になっていて、その事件や
小道具が活躍するのです。敵の海賊船「海蛇丸」という名称さえ、伏線になって
います。エンターテインメント小説とはこうありたいと思うような構成です。
ただ、現代的な視点でいうと言葉の統一が甘い。子ープルスと書いたり、ネー
プルスと書いたり、フィートと書いたり、フヒートと書いたり、そのときどきで
バラバラの表記なのが気になります。しかし、原文を尊重する意味で、そこのと
ころは不統一のまま処理しました。
しかし、これは著者の責任はもちろんの事、編集の責任でもあります。
軍国主義の頃の作品ですから、軍隊を美化している嫌いがあり軍人を英雄視し
ています。しかし、軍人であるや否やにかかわらず、この頃の大人は立派な人が
多かったように思います。そんな対比もしながら読むと昔の作品もその時代の思
想が見えて興味深く読めます。
ちなみにネープルスというのは、イタリアのナポリの英語読み。この時代はこ
んな風に呼んでいたんでしょうか。そういった昔の慣習に触れるのも面白いと思
います。
是非、一読下さい。
- 2010年3月11日 15:33 editors | 個別ページ | トラックバック(0)
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