
第二十一回 書き方教室(3)
第二十一回 書き方教室(3)
今日のお話は、どうしたら人を惹きつけられる物語を創ることができるか、ということでした。
現代は多様化の時代といわれています。つまり人々の興味が一定ではないんですね。マンガが好きな人もいれば、アニメが好きな人もいる、ゲームが好きな人もいる。それぞれのメディアでも、さまざまなジャンルがあって、そこでも興味の方向が分かれています。ですから、誰にとっても面白い物語なんてのはもう存在しないんじゃないかと思うんです。
けれども、物語というのは、いってしまえば人間がどう生きていくかを書いているんです。
ですから、人間が登場しない物語はありません。いや、本当はあります。筒井康隆という「時をかける少女」なんかを書いた人ですが、その人の作品に「虚航船団」という作品があって、これは文房具がイタチの惑星を攻撃するお話で、人間は登場しないんですけど、文房具もイタチもとても人間的なんです。まぁ、擬人化されているわけです。人間自体は登場しませんが、人間に模したモノが登場して、読者はそれに感情移入するわけです。興味のある方は是非お読み下さい。
さきほど「新しいとは何か」といった時に「あなたの体験こそが唯一新しいんだ」と説明しました。ただ、あなたの体験を事実に即してそのまま書いたのでは、たいして面白くないし、いやみな自慢になります。
そうではなくて、あなたの体験を元に、読んでいる人に共感や感動を与える物語に創り変えるのです。「へぇ~、キミはそんな体験をしたんだ!?」ではなく、「わかるわかる。私だってそうすると思う!」といわれるように体験を創り変える。それが他人を惹きつける物語なんです。「ONE PIECE」が面白くて、好きで、「ONE PIECE」みたいな物語を創りたいと思っても「ONE PIECE」は尾田さんの体験を元に作られているわけですから「ONE PIECE」を越える作品をあなたには創れません。
もちろん、だからといって「ONE PIECE」を読むな、といっているわけじゃないんです。ま、読むなと言っても好きな人は読むんでしょうけけど。自分が面白いと思うマンガ、小説、アニメ、ゲームはどんどん見てください。実は、それも体験のひとつですから。ただ、読んだあとに「ああ、面白かった」ではダメです。それでは単なる読者。創作者はなぜ面白かったのか? どうして感動したのか? 作者のメッセージは物語の中にどのように混じっているのか? を考えなければなりません。友達と話し合ってもいいでしょう。
そして、自分が感動した作品の作者が登場人物、つまり人間はどう生きたらいいといっているのか、正直に生きろ! 友情を大切にしろ! あるいはどんなことがあっても前向きに生きろ! 何でもいいんです。作品からそれを読み取ってください。
作品というのはそういうメッセージを直接いいません。直接的に「人には親切にしなさい」などというのはお説教であって、作品ではありませんから。読者が感じるように内容に籠めるんです。感動した作品の作者がどうやって籠めているかも考えてみて下さい。
みなさんが作品を作るとき、自分が読者に伝えたいメッセージが、より効果的に、より読者の心の底まで届くようにどうやって構成すればいいか。それは他の作家の作品からしか学べません。つまり、良い作品をたくさん読むこと。そして、自分の作品も何度も何度も読み返すこと。これが唯一、自分自身のスキルをアップさせられる方法だと思います。




