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小説を書いてみよう

第十八回 キャラクターを創る(1)

第十八回 キャラクターを創る(1)



 小説を創作する上で、登場人物を何人も用意しなければなりません。特に大切なのは主人公でしょう。主人公は物語の進行役でもあるからです。
 たぶん……最も書きやすい主人公は「わたし」「オレ」「ぼく」「あたし」「あたい」「アッシ」……いわゆる一人称ですね。これは多くの場合作者自身が投影されますから、書きやすい主人公です。また読者にとっても「ほくは……と思った」と書かれていると次第にぼく=作者が、ぼく=読者になっていきます。つまり感情移入しやすいわけです。純文学などは、私小説と呼ばれているように「わたし」などの一人称が多いですね。舞台も現代が一般的です。
 もちろん三人称が主人公の場合も多いです。金田一耕助とか苦沙弥先生とか星飛雄馬とか。苦沙弥先生は主人公ではないかな?


 これら小説の中の登場人物を現代ではキャラクターといっています。
 もちろん現代のキャラクターは小説の中だけにとどまらず、いろいろとあります。しかし、ここは小説コーナーですから、とりあえず小説内のキャラクターにお話は限定します。ですから、今後はキャラクターといっても「ハローキティ」のようなもののことをいっているわけではなく、小説内の登場人物のことをいいますので、ご注意下さい。


 キャラクターというとき本来的には、性質、特徴、人格などのことをいいます。これに付け加えるならば見た目、つまり顔ですね。人は見かけによらないといいますけれども、テレビの時代劇など見ていると悪代官はたいてい悪そうな顔をしています。人格は顔に表れるともいいます。いずれにしても顔は大切です。しかし、小説だとどんな顔をしているかなかなか表現しづらいですけど。


 キャラクターを分類すると、フラット・キャラクターとラウンド・キャラクターとに分かれるそうです。フラット・キャラクターとは平面的人物と訳すことができます。つまり典型的な登場人物。記号的なキャラクターといってもいいでしょう。たとえば「ドラえもん」ののび太くんやジャイアンはフラット・キャラクターです。小説でいえばシャーロック・ホームズとか。
 もうひとつは立体的人物といい、内面を持っていて性格付けが変化していくようなキャラクターが、ラウンド・キャラクターです。たとえると「あしたのジョー」の矢吹丈なんかがそうです。最初はケンカが強いだけのヤンチャな不良だったのが、ボクシングと出会うことで性格が変わっていきます。内面がない登場人物がいるのかというと、まぁ、さきほどの「ハローキティ」などはあまり内面は感じられません。またジャイアンは内面がないわけではないでしょうけれど、物語中の役割はおおむね決まっていますからフラット・キャラクターというわけです。
 このように二つに分けることができますけれども、両方の部分が重なることも当然あります。


 登場人物を考えるとき、物語の中身によってどちらのタイプのキャラクターをどのように配置したら効果的かを考えなければなりません。
 青井知之著「ぶるーぶるーさまーでぃず」を例に取ると主な登場人物は全部で七人。
(1)鳥羽ミミ子 → ラウンド・キャラクター
(2)メイ → フラット・キャラクター
(3)高峰遥 → フラット・キャラクター
(4)ミミ子のおばあちゃん → フラット・キャラクター
(5)館山国紀 → フラット・キャラクター
(6)ミミ子のお母さん → フラット・キャラクター
(7)高峰信太郎……習字の先生(遙の父) → フラット・キャラクター


 つまり、主人公以外はおおむねフラット・キャラクターです。メイに少しラウンド・キャラクターが入っていますかね。メイは冒頭の印象と後半が少し違います。作者もメイに関してはあまりに典型的と考えて、そういう味付けをしたのかもしれません。この物語では、主人公が成長するためにそれぞれのキャラクターが配置されているわけです。メイは幼なじみ、ハルカは中立・冷静、館山は同年代の男性の象徴です。信太郎は指導者、お母さんは主婦ですね。おばあさんは……思い出の中にしか現れませんけれども、主人公の精神的支柱といえる存在です。典型的な主人公成長型の物語といえるでしょう。こういうパターンはかなり多いと思います。ミミ子は彼らの力を借りて成長していくわけです。そういう意味では「空を飛べる」との特殊能力を持っているものの、ミミ子はどこにでもいる普通の少女で、キャラクターとしては突出した存在ではありません。
 突出した存在でないからこそ、成長もするし、読者も感情移入できるわけです。


 では別のパターン、ラウンド・キャラクターが複数いる場合の物語とはどんな作品があるでしょうか? それは次回のお楽しみということで、お待ち下さい。


(文責・幸森軍也)


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