
第十五回 スペシャル版
第十五回 スペシャル版
はじめまして、青井知之と申します。
今回は、「小説の書き方講座スペシャル版」ということで、執筆時に苦労したことに書いて欲しいと依頼を受けました。
人に教えるほどの技量はありませんが、苦労話には事欠きませんので、がんばってみたいと思います。
小説を書く際に待ち受ける七つの困難と、その対処法
1.小説を書く時間がない
一番苦労するのが、まとまった時間を確保できないということです。
小説を仕上げるには、膨大な時間と労力が必要になります。
暇で寝てばかりいた学生時代ならともかく、今の僕は、いち社会人として、社畜として企業にこき使われています。一日中会社に拘束されているのです。
小説を書こうとすると、必然的に仕事が終わった後と休みの日になります。
僕にとってこの時間は、積んだゲームと小説と漫画とDVDとBDを消化するための、とても大切な時間なのです。
小説を書くということは、その大事な時間を犠牲にするということです。
そのためには、覚悟が必要になります。
「世間の皆さんは楽しい人生を送っているのに、僕は一人寂しくパソコンへ向かって、誰も望んでいない小説をだらだらと書いてる。救いようのない根暗なヤツなんだ」
それを認めて受け入れる覚悟です。
それができれば、なによりも小説を優先し、書く時間を作ることができるのです!
2.パソコンの前に座る気がしない
僕は、プログラマーをしているので、会社で一日中パソコンとにらめっこしています。
そのため、家に帰ってから、パソコンの前に座る気が起きないときがあります。
パソコンに嫌気がさして、叩き壊したくなるときもあります。
そんなときは、パソコンではなく紙に書きます。
さあ、紙と筆記用具を持って外へ出ましょう!
場所はカフェがいいです。暇そうな人たちの横で、物憂げな表情を作りながら小説を書き連ねるのです。知的な自分を演出するのです。学歴と給料が高そうに見せるのです。
そうすれば、異性からの注目度アップ!
なんてことがあったらいいですね。
紙に書いた文章をパソコンに入力する手間はかかりますが、気分転換の手段としては悪くないと思います。
パソコンをぶん殴りたくなったら試してみるといいですよ。
3.パソコンを起動してもインターネットで遊んでしまう
誰もが通る道です。
解決方法は簡単です。
まず、ハサミを手に取ります。
PCに接続されているLANケーブルを切ってください。
インターネットに繋がらなくなったら成功です!
思う存分小説が書けますね!
4.書こうと思っても書けない
「さあ、小説書くぞー! 今日は五百枚ぐらい書いてやるぞー!」
気合十分でキーボードに手を置いてみたものの、指がまったく動かない。
一行も書けない。
なぜだろう。
そんなときは、イメージを膨らませましょう。
頭の中で、今書いているシーンを、アニメや実写ドラマで再生させるのです。
何度も再生しているうちに、登場人物の細かな仕草まで見えてきます。エロい人は女の子の胸や尻やパンツなどのディテールを想像していくと、入りやすいかもしれません。
それを文章にしてみるとうまくいきます。僕の場合ですが。
他の人ができるかどうかは知りません。
5.自分で納得できる文章が書けない
調子よく書いていても、見直してみると、
「あらびっくり! なんてへたくそな文章! なんて面白みのない文章!」
こんなことは日常茶飯事です。
そんなときは、
「明日から本気出す!」
と宣言して、コンビニへ走りお菓子を買いこんでやけ食いしてもいいのですが、つまずくたびにそれをやっていたら、確実に肉の塊に近づいていくのでグッと我慢します。
そして、書くのです。
納得なんてしなくていいから、キーボードが破壊されるまで打ちまくればいいんです。
直すことは後からできます。
「立ちどまっている暇はない。男には進まなきゃいけないときがある。それが今だ!」
そんな台詞をつぶやくと調子が出ます。
6.書いても書いても終わらない
絶好調。指が止まらない。どんどん進む。
さあ、どれだけ書けたんだろう。原稿用紙チェッカーで枚数をはかってみます。
「なん……だと!? これで十五枚?」
三百枚の長編小説を書くなら、絶好調を二十回もやらないと完成しません。
長編小説はマラソンに例えられることがありますが、僕は小中学校の長距離走やマラソン大会が大っ嫌いでした。
だから、こち亀を一巻から毎日一話ずつ読む仕事と例えてみます。
長いです。ぜんぜん終わらないです。気が遠くなります。嫌になります。いつまでこれに拘束されるんだと思います。
こんなとき、僕は、なぜ小説を書くのか再確認します。
書く理由がなかったらサクッと止めちゃいましょう。
書く理由がないのに、小説を書くなんて拷問でしかありませんから。
僕の場合は、小説を書くのが好きだから。それだけです。
7.なんか心が折れそう
どんなにがんばっても、逃げだしたくなるときがあります。
ひょっとすると、毎日逃げだしたくなるかもしれません。
投げだすのは簡単ですが、ちょっと待ってください。
あの先生の言葉を思い出しましょう。
あの先生とは、スラムダンクの安西先生です。
安西先生は言いました。あきらめたらそこで試合終了だと。
そうです。あきらめたら、頭の中にある物語は誰一人知ることなく消えていく。作者さえ忘れてしまいます。
物語の主人公は、エンディングを迎えることなく、中途半端なところで放置されてしまうのです。
それでも構わないというのなら、あきらめればいいと思います。
楽しいことはいっぱいありますから。
あきらめきれないなら、どんなにつらくても、きつくても、進むしかないです。書き続けるしかないです。
原稿用紙一枚でもいい。それも無理なら、一行でもいい。とにかく書く。あきらめなければ、いつかは完成します。一年後かもしれないし、三年後かもしれないです。
でも、進み続ける限り、ゴールは確実に近づいてきている。
そう言い聞かせて、書くしかないのだと僕は思います。




