
第四回 文章を書くときのルール(4)
第四回 文章を書くときのルール(4)
先日、こんな質問がありました。
「カギ括弧」と『二重カギ括弧』の使い分けはどうすればいいのでしょうか。
一般に会話文で「カギ括弧」を使います。
「ねぇ、聞いてよ。彼ったら夏休みに旅行に行こうって言うのよ」
恵子は困った顔で裕美に相談した。
実はこの恵子のセリフの中には、別の会話文が含まれています。すなわち、彼が喋ったセリフが混じっているのです。その部分をわかりやすくしてみましょう。
「ねぇ、聞いてよ。彼ったら『夏休みに旅行に行こう』って言うのよ」
このように、会話文の中に別の人物のセリフが含まれている場合、『二重カギ括弧』を使うのが通常の使用方法です。
ちなみに、文章を作成する時は文末は。句点をつける決まりになっていますけれども「カギ括弧」の文末はこのルールからはずれます。
「ねぇ、聞いてよ。彼ったら『夏休みに旅行に行こう。』って言うのよ。」
このような書き方はしないので注意しましょう。また、段落のはじめにヒトマス下げる決まりも「カギ括弧」などの記号の場合は適用されません。ヒトマス空けずに行頭からはじまります。
会話文以外に書名、雑誌名、作品名などを括弧でくくって目立たせる書き方もあります。
「朝日新聞」に連載されていた『サザエさん』は国民的マンガとなった。
『朝日新聞』に連載されていた「サザエさん」は国民的マンガとなった。
どちらの使い方でも構わないでしょう。ただし、新聞名は二重カギ括弧、作品名はカギ括弧と統一して下さい。
『朝日新聞』に連載されていた「サザエさん」は国民的マンガとなった。「毎日新聞」に連載されていた『フクちゃん』は早稲田大学のマスコットとして今も愛されている。
という具合に、ひとつの作品の中で使い方がバラバラなのは不可です。
会話文ではカギ括弧以外にもさまざまな記号を使うことができます。
(自分自身のことを考えているんだわ)しばらく観察した後、やっとそう見当をつけた七瀬は、過去、これに類した意識に自分が何度か出会っていることを突然思い出して愕然とした。
(「七瀬ふたたび」筒井康隆著)
ここでは推測、すなわち心の声を(括弧)で表しています。また別の記号を使う、こんな事例も見かけます。
――なんて事だ――
「―」ダッシュという記号です。これは原稿用紙でいうと二マス分使います。同じく原稿用紙の二マス分を使う記号に「…」三点リーダーがあります。三点リーダーも「…」ではなく「……」と使いましょう。
――なんて事だ……
「!」エクスクラメーション・マークはワープロでは全角で表現します。ところが「!!」と二つ並べたい時は半角です。同様に「!?」も半角。「?」とひとつになると全角。
――なんて事だ?
とはいっても、小説の内容にもよるものの、あまりこのような記号を多用することは効果を薄れさせることにつながると考えられます。記号を使ってたまに表現するからこそその記号が強調されて、読者にインパクトが伝わるのではないでしょうか?
つまり……やたらに記号を使うな!!
(注:「フクちゃん」は最初『東京朝日新聞』に連載され、のち1957年から『毎日新聞』に連載が移った。)
(担当:幸森軍也)




