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小説を書いてみよう

第二回 文章を書くときのルール(2)

第二回 文章を書く時のルール(2)


 第一回目では、主に原稿用紙の使い方を説明しました。このことは、他人に文章を読んでもらう上で最も基本的な部分です。
 新人賞応募用の原稿では、いくら内容が優れていても原稿用紙の使い方がなっていないと読んでさえもらえないこともあります。
 第二回目となる今回も、基本的なことをいくつか述べていきます。


(1)"の"を繰り返さない
 "の"とは「右の手」などというときの"の"です。
 "の"を繰り返すとなぜいけないのでしょうか。次の文章を見て下さい。


 右の手の爪の先に傷がある。


 "の"が四つ連続で使われています。上の文章の意味は説明するまでもないでしょう。けれども「右手の爪先に傷がある」と書けば、意味は通じるではありませんか。もうひとつ見ましょう。


 銀行の角の階段の下の居酒屋


 これも「銀行の角の階段を下った居酒屋」と書いた方がすっきりするでしょう。"の"を使って単語をつなぐといくらでも文章が続きます。しかし、だんだん意味が通らなくなっていく畏れがありますので、ほどほどにしたいものです。


(2)"が"でつながない
 同じようなことですけど、"が"も多用するとみっともない文章になります。
 "が"とは接続助詞の"が"です。
 広辞苑第四版によると"が"は次のように書かれています。


(接続助詞)活用語の連体形を受ける。①前後の句を接続し、共存的事実を示す。②転じて、前後が反対の結果になり、食う違う事柄に移行したりする意味を表す。③下文を略して、不審や不安を表明したり、軽い感動を表したりする。④推量の助動詞を受けて二つの事柄を列挙し、そのいずれにも拘束されない意を表す。


 つまり、順接でも逆接でも利用可のとても便利な助詞なのです。したがってついつい多用しがちになり、どんな句の終わりにも"が"を使って文章をつなげて満足することになるのです。
 また、"が"を何度も使うと前後の文章が順接なのか逆接なのかわかりづらくなりますので、極力使わずにすませましょう。


(3)同じ単語を繰り返さない。
 この稿では"の"や"が"を続けて使わない方がよいと述べてきました。それと同様に、文章中のキーワードを除く単語=言葉はできるだけ繰り返さずに書きましょう。
 その作品のキーワードとなる単語、例えば登場人物の名前やテーマとなる物の名称などはどうしても繰り返して書かざるを得ません。ですから、そうでない単語は極力別の言葉で表現するように心がけましょう。


 今、ムサシは刀を投げつけた。ムサシにとって刀は単なる道具でしかなかった。刀は武士の魂などと今いわれるが、戦国時代にはいくらでも換えのきく道具だったのだ。


 「ムサシ」は登場人物の名前、「刀」「道具」はテーマとなる概念です。ですからどうしても繰り返し書いてしまいます。


 今、ムサシは刀を投げつけた。彼にとって刀は単なる道具でしかなかった。刀は武士の魂などと現在ではいわれるものの、戦国時代にはいくらでも換えのきくモノだったのだ。


 「ムサシ」も一回、「道具」も一回、「今」も一回、"が"でつないでいた部分を変更しました。えっ!? たいした違いはない? ではもっと文章に工夫を凝らして書き換える練習をしてみて下さい。
 ボキャブラリーを増やすと、ひとつの事柄をいろんな言い方で表現することができます。それは読者により豊かなイメージをもたらし、作者の言いたいことを的確に伝えられるのです。


 第二回の「小説を書いてみよう」も基本的なことに終始してしまいました。次回もまだまだ「小説の書き方」に行き着かないかも知れませんが、お付き合いのほどよろしくお願いします。


(担当:幸森軍也)


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